強迫性障害

強迫性障害とは

強迫…なんとも不快な響きです。

強迫性障害は、ごく簡単に言うと自分で自分を強迫してしまう状態です。
出かけたときに家の鍵を閉めたはずなのに、「本当に鍵をかけたの?」という考え(強迫観念)が湧いてきます。
自分自身で、「絶対に鍵はかけた」と考えても、理不尽に強迫観念が襲ってきます。
「本当に鍵を閉めたの?閉めてないんじゃないの?」と、強迫してきます。
その観念に支配されて、鍵の確認をするために家に戻って確認してしまいます。
自分で「鍵は必ずかけた」と認識していても、強迫観念は理不尽極まりなく迫ってきます。
自分でもおかしいと思っていても、強迫観念に従ってしまう状態が、強迫性障害です。

強迫性障害の症状

  • 鍵をかけたかどうか
  • 持ち物はそろっているか、などなど

大なり小なり、誰しもが日常生活で経験はします。
たとえば試験の前日に感じるような感覚です。
ただ、それが生理的な範囲内を超えてしまい、日常生活に影響が出てくると治療の対象となります。
自分自身でもおかしいと感じながらも、そのおかしさを解消するために多くの時間と労力を費やしてしまいます。
大事なものを落としてしまったのではないかという強迫観念にとらわれていた患者さんは、診察が終わって退出するまで、1時間ほどかけて診察室内をくまなく見ていました。
まだ経験が浅かった私は「なにも忘れていませんよ」と言いましたが、患者さんの耳には全く届いていません。患者さん自身が納得するまで確認していました。
自分でもおかしいとはわかっていても、確認などを止められない。
強迫性障害という病気の特徴です。

強迫性障害の治療

治療は、主に薬物を使用します。
カウンセリングも補助的に行いますが、カウンセリングだけで改善して行くにはかなり時間がかかります。

強迫性障害の治療に用いる薬は、主にセロトニンに作用します。私なりの言葉で表現すると「いい意味で少しだけずぼらになる」という状態を目指して使用します。

薬物治療が効果を発揮してくると、確認の頻度や程度が軽減して行きます。
患者さん自身から「楽になった」と伝えてくれるようになることが多いように感じています。症状が出現してから治療につながる期間が短いほど、早く効果が現れるように感じます。

強迫性障害は、随伴症状としてうつ状態などをきたしやすいです。そのため早期の治療が非常に重要と考えています。