パニック障害とは
読んで字のごとく、パニックになってしまう疾患です。
道を歩いていて、小さな水たまりを踏んだとします。
ほとんどの人は気にもとめずに歩き続けます。
文学的に感じる人は
「水たまりは私を待っていたのだろうか。否、私が水たまりという存在を認識していたならば…」などと考えるのかもしれません。
理系の人ならば、
「今は晴れている。周りにある水たまりの大きさから考えて、3時間前ににわか雨が降ったのだろう。今日のお昼ご飯は唐揚げ定食にしよう」と考えるかもしれません。
もうこれは人それぞれです。
パニック障害の患者さんの場合について、私なりの表現で記載してみます。
水たまりを踏んだ。
水、水、水…
この水が無限に増えてきたら、どうなってしまうのだろう。
意識的にせよ無意識にせよ、水が恐怖になって行きます。
すると、踏んだ水たまりで靴底に水源ができたように、水がどんどん湧き出てきます。
おかしいと感じていると、次は見えない壁が四方八方から自分を閉じ込めていきます。
丁度、公衆電話ボックスくらいの大きさの、見えない空間に閉じ込められていきます。
閉じ込められた空間で、足元からは水が湧いてくる。溺れそうになっていきます。
必死でもがこうとしても、水はどんどん増えてゆき、逃げ場はどこにもありません。
他の人からみたら、見えない壁も、溢れる水も存在しません。
でも患者さんは、もう死んでしまうと思って必死にもがいている。
見えない壁も水も存在しないため、患者さんが溺れて死んでしまうことはありません。
でも患者さんにとっては、逃げ場のない、どうしようもない状態におかれているのです。
このような状態がパニック障害だと私は考えています。
パニック障害の症状
- 動悸
- 呼吸苦
- 発汗
- 震え
などなど様々な症状が現れます。
いつ発作が起きるか、予測は困難であり、そのために患者さんはビクビクして生活しなければならなくなってしまいます。
パニック障害の治療
クリニックでは、主に抗うつ薬と、発作時の頓服の薬物療法をおこないます。
抗うつ薬で、発作の頻度と程度の軽減を。
頓服薬で、発作時に対応できるようにします。
抗うつ薬の内服は、1日に一回のタイプが多いです。
頓服は、発作が起こりそうだなと感じた段階で内服するように。
というのも、発作がおきてしまうと、頓服を飲むということを意識するのが難しくなるからです。
薬物により、発作の頻度、程度が軽減してくると、患者さんが「前より発作が減った。楽になった」と感じるようになります。
こうなってくると、不安はあるが、発作が起きにくくなります。
行動と治療が一体となってよい方向へ向かうイメージです。
いつ治療が終わるかは、正直難しところです。治療の完了は大きな目標として共有し、目の前の症状の改善のために、診察を通して治療いてゆきます。